姉妹。
私の姉は傑作だった。姉としても、人間としても。彼氏がいて、仕事でも大きなプロジェクトを任せられて、両親にも可愛がられて。
でも、姉は遠距離恋愛中の彼に隠れて、男に抱かれていた。それを隠しもせず私に言うのだ。
欠陥品の私は姉を責める気にもなれず、姉に平然と笑顔を向けて、ただただ虚しくなった。
田舎から都会に住んでいる姉のところへ遊びに行った時、姉が居酒屋に行こうと言い始めた。
最初は嫌がったが、押しに負けて行くことになった。
そこの居酒屋は本当におしゃれで、都会の男とかいうのが沢山いた。
「妹ちゃん、彼氏いないの?」
「だーめ。妹に手出さないでね。」
「大丈夫だよ、居ないですよ。」
居心地が悪かった。姉が女であったからだ。
「あ、ちょっとあたし、トイレ行ってくる。」
「あ、うん。いってらっしゃい。」
無言でお酒を飲んだ。するとカウンターに立っている男の人が話しかけてきた。
「ねぇ。」
「…はい。」
「実際のところどうなの?」
「え?」
「彼氏。」
あー、そういうことか。この人たちは姉の"男"だ。私も抱けるのか品定めしてたのか。
「本当に居ませんよ。」
「へー。可愛いのに。妹ちゃんの方が居そうなのにね。清楚で、気品があるし。」
なんだかいらいらした。
「姉は、傑作です。姉としても、人間としても、女としても。」
「じゃあ、妹ちゃんは?」
「私は……欠陥品です。妹としても、人間としても、女としても。」
あぁ、そうか。
この虚しさは、何をしても勝てない自分自身にだ。このいらいらは、私の頑張りを馬鹿にされた感じがしたからだ。
なんだ。簡単じゃないか。
ただ単に姉に嫉妬していたんだ。
「ただいまー。」
「おかえり。」
私は汚い女だな。
「何話してたの?」
「彼氏居るかって聞かれたから居ないって答えただけだよ。」
汚い私はやっぱり平然と笑ってた。